~お天道様は本当に見てる?~
小1の終わり頃、近所に同学年のMちゃんという女の子が引っ越してきた
Mちゃんは一人っ子で家族3人暮らし、お父さんの転勤で都会からやってきた活発な感じの子
わたしはそれまで近所に同い年の女の子がいなかったからすごく嬉しかったし、Mちゃんも私をとても気に入ってくれたみたいで、すぐに毎日遊ぶようになった
だけどいくらも経たない内に気づいた、
…Mちゃんはちょっと…いや、とても変わった子だ…、と…
わたしとMちゃんとの間で1番多かった遊びはMちゃんお気に入りの、Mちゃんの走る速さを当てるというMちゃんが作ったゲームで、それはまさにMちゃんのMちゃんによるMちゃんの為の遊びだった
Mちゃんは足が速いのが得意で自慢らしく、自分の走る速さにそれぞれ名前をつけていた
ゆっくりが「こだま」で
ちょっと速いのが「つばめ」etc
もっと速いのが「ひかり」「はやぶさ」etc、
ちょっと速いのともっと速いのが5種類ずつくらいあるし、たまに増えたりもする
Mちゃんは最初にこれを全部実際に走って見せてくれたけど
正直いって、わかるわけない
「じゃあ見ててね?」
Mちゃんがそう言ったらこのゲームの始まりだ
Mちゃんは20Mくらい向こうまでダーっと駆け出して行ってしまう
そしたらわたしはMちゃんが戻ってくるまでの間に今の走りのスピード名がどれなのかを一生懸命考えなければならないのだ
だけど答えはいつもMちゃんの気分次第だったし「はやぶさ」と「ひかり」の違いなんて走り去るMちゃんの背をどんなに真剣に凝視した所でわかるわけもなかった
Mちゃんが当たりと言えば当たりだし、ハズレと言えばハズレなのだ
わざとゆっくり走る「こだま」ぐらいしか当てられないし「こだま」はMちゃんからのボーナス問題みたいなものだった これなら簡単でしょ?当てさせてあげるね?っていう
わたしはすぐにこの遊びが苦痛になった
だって全然面白くないし
Mちゃんが戻ってくるまでに「はやぶさ」だったのか「ひかり」だったのか考えなきゃいけないし
そう、私も私でちょっと生真面目が過ぎる変な子だったのだ
だから適当に答えて流すということもできない
だから必死に考えて答えるけど
めちゃメンドイ&シンドイ
そして答えはMちゃんの気分一つのはずなのにあんまりハズレが多いとMちゃんの機嫌が悪くなっていく理不尽…
Mちゃんはしつこい性格だったからこの遊びを何度も繰り返しては疲れ果て、そしてそれはいつも当てられないわたしのせい、になった
私(Mちゃん)は一生懸命走ってるのにあなたは真面目に見ていないって怒りだす、ほんと理不尽…
そしてMちゃんは機嫌が悪くなるとわたしのイヤがる事をしたり言ったり無理やり言う事を聞かそうとしたりする
そして何故か最後に謝ってきたりするから余計に性質がわるい
嫌がる私(虫嫌い)にトンボをくっつけてやろうと町中追いかけ回したりして、
Mちゃんは本当にしつこいから長時間逃げるのはめちゃくちゃ大変だったし
他にもいじわるをいっぱいされるから嫌になってくるけどなんせ家と家が近過ぎるし、いくら断っても食い下がるMちゃんに根負けして、ついつい一緒に遊ぶ流れにさせられてしまう
Mちゃんの所業をMちゃんのお母さんに言いつけてやろう、と思った事もある、だけどMちゃんのお母さんは優しくていい人だったから娘のMちゃんがこんなに意地悪な子です、なんてあまりに可哀想な気がして言い出せなかった
それからMちゃんは手下の男の子達を従えるようになって、わたしにさらなる意地悪をしてきたり、時々謝ってきたり、を繰り返す
そしてある日、とうとうガマンできなくなったわたしは今日こそMちゃんと縁を切ろう、と決心した
「Mちゃんはすぐ私に意地悪な事するからイヤ、もうMちゃんとは遊ばない、絶交する」
そうキッパリとMちゃんに告げた
だけどMちゃんは必死に謝ってきて、もう絶対に意地悪しないから、と何度も抗ってくる
Mちゃんは本当にしつこい性格なのだ、これまでだって何度かこんなやりとりを繰り返している
でも今日はわたしの決心も固い、するとMちゃんはさらにわたしに執着するらしく何度ももうしないから友達でいようと繰り返す
いつものしつこさの数倍だ…
心からうんざりして思う、ああ、やっぱりMちゃんには勝てないのかもしれない、もう、諦めようか…
そう思ったその瞬間
Mちゃんの足にビチャっと何かがかかった
あっ!鳩フンだ!
そう2人とも気づいた瞬間、Mちゃんは必死の形相でその鳩フンのついた足をわたしの足に、このヤロ、このヤロ、と言いながらなすりつけていた…
Mちゃんがもう絶対に意地悪しないと誓った矢先、わたしも諦めて和解を受け入れる寸前の出来事だった
しばらく鳩フンをなすりつけた後我に返ったMちゃんは何やら言い訳を並べたけど、さすがにもう私の心は白けきって揺るぎようもない
Mちゃんもそれに気づいたようで気まずい顔で黙ってしまい、その顔を見て私は初めてMちゃんの生の表情を見たような、そんな気がした…
かくして、私とMちゃんの縁は神タイミングの鳩フンによって無事に切られたのだったーーー
当時、そのあまりにもジャストなタイミングの鳩フンに、子供心に自分は見えない何かに見守られているのでは?と、そんな気持ちがしたのを覚えている
神様か守護霊様かたまたま見てた鳩が可哀想に思ってくれたのかはわからないけど
思えば人生にはたまぁにそんな事がありますね、この時の鳩フンほどダイレクトアタックでなくても
電車乗り遅れて危機一髪、とか、仲良しだったのに何故か急に気まずくなって疎遠、とかね
きっとこの人生に必要or不要な縁とか経験、出来事なんかはある程度は決まってて、時々見えない何かの力によって切られたり、または繋がったりするのかな、とも思う
そして今思い返せば、鳩フン落ちてくるまでは、それまでは辛くても自力で乗り越えられるラインなんだと、わたしはあの時に学んだような気がする、きっと何かが見てくれてるから大丈夫、って
え…、でもでもそしたらさ、
Mちゃんがあの頃しつこくしてくれたから、いっぱい意地悪してくれたからそのお陰で、わたしはあの時にとても大切な事を学びました、ありがとうMちゃん!てなっちゃう?もしかして?
はぁ…、人生とか、辛い出来事とか、嫌いな誰かとか、まさかの鳩フンでさえ…いつどこからどう見るか、で全然違ってきちゃうものなんですね…ほんとミラクル…
でもまぁ、そう思うとこの世界はこの次元ではバラバラに動いてるように見えるけど、意外と全部が完璧なタイミングで動いてるのかもしれない、ね?
…知らんけど笑
PS. わたしは引っ越しちゃったからその後Mちゃんがどうなったかは知らないけど予想は、絶対、陸上部!!

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